いまさら聞けない会計実務シリーズ【退職給付会計 Part1】

今回から退職給付会計について解説してまいります。

退職給付会計については、平成24年改正により平成25年4月1日開始事業年度末より新基準が適用されています。便宜上、3月決算で説明させて頂きますと大きく当期純利益に関連しない項目は平成26年3月末、当期純利益に関連する項目は平成27年3月期の第1四半期から適用されることになります。各社においては平成26年4月1日以降開始事業年度に係る会計基準の変更による影響(退職給付債務の再計算等)を含めて新基準対応は完了していると思われますので、ここでは新基準の元での決算開示一連のプロセスについて示してまいります。

1、基本的な解説(いわゆる入門書に記載される各会計基準の基本的な内容)

2、手続きの流れ(いつのタイミングで何を準備し、どういった検討を行うのか)

3、それぞれの手続の解説

という順番で説明して参ります。

 

1、基本的な解説

(1)退職給付会計の基本的な枠組み

退職給付とは、従業員の退職後に支給する年金や一時金をいいます。退職給付は、企業にとって従業員に対する負債です。従業員の勤務期間に伴って、企業は退職給付の将来の支払額が増加していくことになります。

以前は、退職給与引当金による一時金の部分を処理するのみだったのですが、会計基準の制定により退職給付に係る負債を合理的に見積もり、財務諸表に反映させることが必要となりました。その方法が退職給付会計です。

 

(2)退職給付会計の構成要素の解説

 退職給付会計は下記の要素から構成され、算定されます。

①退職給付債務

「退職給付債務」とは退職給付のうち、認識時点までに発生していると認められる部分を割り引いたものをいう。

②年金資産

「年金資産」とは、特定の退職給付制度のために、その制度について企業と従業員との契約(退職金規程等)等に基づき積み立てられた特定の資産をいう。

③勤務費用

「勤務費用」とは、1 期間の労働の対価として発生したと認められる退職給付をいう。

④利息費用

「利息費用」とは、割引計算により算定された期首時点における退職給付債務について、期末までの時の経過により発生する計算上の利息をいう

⑤期待運用収益

「期待運用収益」とは、年金資産の運用により生じると合理的に期待される計算上の収益をいう。

⑥数理計算上の差異

「数理計算上の差異」とは、年金資産の期待運用収益と実際の運用成果との差異、退職給付債務の数理計算に用いた見積数値と実績との差異及び見積数値の変更等により発生した差異をいう。

⑦過去勤務費用

「過去勤務費用」とは、退職給付水準の改訂等に起因して発生した退職給付債務の増加又は減少部分をいう。

 

退職給付会計では「(2)退職給付会計の構成要素」に掲げた構成要素を外部機関に依頼し(専門ソフトを用いて社内計算する場合もあります)、または他の構成要素から算出することになります。退職給付会計算定のプロセスはワークシートに落とし込まれることが一般的となります。

シートの作成方法や、どのタイミングで何を行うかについて次回「2、手続きの流れ」で解説していくことにします。


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