いまさら聞けない会計実務シリーズ【退職給付会計 Part2】

前回から退職給付会計について解説しています。

1、基本的な解説(いわゆる入門書に記載される各会計基準の基本的な内容)

2、手続きの流れ(いつのタイミングで何を準備し、どういった検討を行うのか)

3、それぞれの手続の解説

という順番で説明して参ります。

 

今回は、「2、手続きの流れ(いつのタイミングで何を準備し、どういった検討を行うのか)」について説明してまいります。

 

2、手続きの流れ

これまで紹介した会計基準と異なり、会計処理に必要な数値は「退職給付会計ワークシート」に集計されることになり、形式的には単一の手続となります。ただし、「退職給付会計ワークシート」で算定される数値は外部の委託機関から入手されるものもあれば、ワークシート内で算出されるものもあり、多様です。

そこで、ここでは退職給付会計の原則法を前提に退職給付会計を構成する各構成要素についてどの時点でどういった作業が必要になるかについて解説していくことにします。

 

(1)各構成要素の算出時期

①退職給付債務

退職給付債務は従業員の年齢・給与額といった(ⅰ)従業員データ、年功とともに給与額の上昇が予想される(ⅱ)予定昇給率、各期の発生費用を現在価値に割引計算行うための(ⅲ)割引率から算定されます。年金数理計算というテクニカルな技法により算出されるため、年金数理士を擁する生命保険会社などに委託されることが多いと思われます(以下、外部委託機関)。決算または予算策定までに算定してもらえるように要請された提出日までにデータを準備します。

②年金資産

 年金資産の委託運用機関からの実績報告を入手することによります。期末決算以外では前期実績と予想運用収益率、退職給付として支出された額、企業からの拠出額をもとに予想値で計算されます。したがって、期末時点以外において年金資産は自動計算されることになります。

③勤務費用

 ①退職給付債務と同時に年間金額が算定されるため、外部委託機関から示されます。

④利息費用

 退職給付債務と割引率によりワークシート上自動的に算定されます。

⑤期待運用収益

 前年度の年金資産時価と期待運用収益率よりワークシート上自動計算されます。

⑥数理計算上の差異

当初見込み計算を行った退職給付債務の予想額と年金資産の時価額を期末の実績額と比較し、差異金額としてワークシート上把握されます。

⑦過去勤務費用

 退職給付水準の改訂があった際に①退職給付債務と同様のプロセスにより新たな退職給付債務額が算定され、旧来の退職給付債務との差額として算定されます。

 

退職給付会計では、前回までのテーマと異なり(ⅰ)外部委託機関及び年金資産運用機関からの諸数値を入手し(上記①、②確定、③、⑦)、これを退職給付ワークシートに当てはめて会計処理に必要な数値を作成する(②予想、④、⑤、⑥)という2つのステップとなります。

次回以降で退職給付ワークシートの作成ステップについて解説をして参ります。


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