会計・監査メールマガジン vol.1

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▽ 目次 ▽

1.2014年3月期決算における、継続企業の前提に関する注記

2.退職給付会計基準の改正点

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◆1.2014年3月期決算における、継続企業の前提に関する注記◆

 2014年3月期決算を発表した上場企業2,467社のうち、監査法人から
「継続企業の前提に関する注記(ゴーイングコンサーン注記)」(以下、GC注記)が
付いた企業は27社だったようです。前年度本決算(2013年3月期、33社)より6社減少し、
2013年9月期中間決算(26社)より1社増加しました。
また、GC注記に至らないが、事業継続に重要な疑義を生じさせる事象がある場合に
記載する「継続企業に関する重要事象」(以下、重要事象)は32社で、
前年度本決算(40社)、前中間決算(41社)より大幅に減少しました。

上場企業の2014年3月期決算は大手を中心に好決算が相次ぎ、景気浮上の期待感も
高まってきており、これに伴いGC注記企業数の減少傾向が続いています。

GC注記27社のうち、26社(構成比96.2%)が「重要・継続的な売上減」、
「損失計上」、「営業キャッシュ・フローのマイナス」など、本業不振を理由としています。

次いで、「金融機関や取引先などへの支払条件変更・遅延」、「借入過多・財務悪化」
「資金繰り懸念・資金調達難」がそれぞれ3社(同11.1%)と続いています。
売上減や赤字計上など、本業悪化を理由とした注記が9割を超え、深刻な業績不振から
脱却できない上場企業に継続してGC注記が付いています。

参考:東京商工リサーチ
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/201400609_04.html


◆2.退職給付会計基準の改正点◆

 退職給付会計基準が改正されましたが、主な改正点は下記の3点です。

(1)積立不足(未認識債務)の負債計上
(2)退職給付債務の算出方法見直し
(3)情報開示項目の拡充


(1)積立不足(未認識債務)の負債計上

平成25年4月1日以後に開始される事業年度の年度末から適用(連結のみ)

 退職給付の積立不足は、これまでは貸借対照表には計上しないで、簿外債務として
決算書には含めずに注記としていました。これが改正によって負債として貸借対照表に
計上されます。
負債の不足分については、損益計算書には影響させずに「その他の包括利益累計額」に
影響させます。

この改正は平成25年4月1日以後に開始される事業年度の年度末に係る連結決算に適用されます。
(個別財務諸表には適用されません)

この改正では、財務に与える影響が大きくなっています。特に積立不足を抱える企業に
とっては、負債が増加して、自己資本比率の低下を伴う場合があります。

ここで積立不足とはどういう事か、について解説致します。
退職給付会計は従業員が定年を迎えるまでの様々な要因(運用収益・退職金規程・
加入者の増減・利率など)を見込んで計算されますが、その見込みと実績の差損が
積立不足です。
特に、運用収益の見込みを高く見積もっている企業が多く、近年の株安・低金利の
影響によって積立不足が増加する要因ともなっています。


②上記の改正点に係る2年目の対応方法(連結のみ)

その他の包括利益累計額に計上されている未認識数理計算上の差異及び
未認識過去勤務費用のうち、当期に費用処理された部分については
その他の包括利益の調整(組替調整)を行うこととなります。

その他の包括利益累計額のうち、当期に費用処理を行うものについて、
退職給付費用に振り替えます。


(2)退職給付債務の算出方法見直し

平成26年4月1日以後に開始される事業年度の期首から適用します(連結のみ)。

退職給付債務の計算において以下3点の見直しを実施します。

・退職給付見込額の期間帰属方法:
 ⇒「期間定額基準」と「給付算定式基準」のいずれかを選択適用

・割引率:
 ⇒退職給付支払ごとの支払見込期間を反映するものを使用

・予想昇給率:
 ⇒「確実」ではなく「予想」される昇給等を考慮するよう変更

適用初年度については、当期純利益の計算に影響を与える変更であるため
期首の利益剰余金に加減して計上します。


(3)開示について

①貸借対照表上の表示

積立状況を示す額(退職給付債務から年金資産の額を控除した額)について、
負債となる場合は「退職給付に係る負債」等の適当な科目をもって固定負債に計上し、
資産となる場合は「退職給付に係る資産」等の適当な科目をもって固定資産に計上します。

未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用については、税効果を調整の上、
純資産の部におけるその他の包括利益累計額に「退職給付に係る調整累計額」等の
適当な科目をもって計上します。

②包括利益計算書上の表示

当期に発生した未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用ならびに
当期に費用処理された組替調整額については、税効果を調整の上、
その他の包括利益に「退職給付に係る調整累計額」等の適当な科目をもって、
一括して計上します。

③注記事項

確定給付制度に係る事項について、連結財務諸表及び個別財務諸表において
注記する事項が大幅に増えています。
その他の包括利益に関する注記は、個別財務諸表には適用しません。

 

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