CFOメールマガジン No.13

■自己株式処分(公募)による資本調達のメリット

平成27年7月30日に、東証マザーズ市場に上場した株式会社イトクロの資本政策がユニークであったため、ご紹介したいと思います。

イトクロ社は、平成18年3月に創業された会社であり、「塾ナビ」「みんなの学校情報」「みんなのカードローン」をはじめとした幅広いユーザー基盤及びクライアント基盤のもと、教育業界及び金融業界内において各領域に特化した領域特化型ポータルサイトを運営しています。

以下が、上場申請日直近の資本構成です(ストックオプションは2%程度のため、除く)。

1.      山木学(代表取締役) 9,000,000株(79.4%)
2.      株式会社イトクロ(自己株式) 2,308,000株(20.4%)
3.      その他(役員及び従業員)  32,000株(0.2%)

そして、以下が、公募及び売出し情報です。

公募(自己株式の処分)  1,230,000株
売出し(山木社長)     1,690,000株
売出し(OA)          438,000株
発行価格              1,930円

よって、㈱イトクロは、公募を自己株式の処分で行うため、約23億円(1,230,000株×1,930円)を調達しますが、その他資本剰余金の増加となり、資本金が30百万円のままとなり、会社法上の大会社にあたらないばかりか、税務上の大会社にもあたりません。よって、外形標準課税もかからないということになります。

そして、きっちり、25%((1,230,000株+1,690,000株)/11,340,000株)を放出し、さらにまだ自己株式10%を持ち、今後の資本政策等に使えるという余力まであります。きっちりと、早い段階から利益を出す構造であったことが実現させたのでしょう


■監査意見が意見不表明となった場合について

過去事例:パシフィックホールディングス(東証一部・監査法人トーマツ)

パシフィックホールディングス(東証一部)の2008年11月期で,監査法人トーマツが監査意見を不表明にした。継続企業の前提に重要な疑義が存在していたが,優先株式の第三者割当増資が実現しておらず,「優先株式の発行及びこれを前提とした経営計画の実行可能性等」が不明で,意見表明のための合理的な基礎を得ることができなかったという。同社はその後、会社更生手続きを開始し、2009年4月に上場廃止となった。

以下、会社IR「有価証券報告書に関する監査意見不表明のお知らせ」
http://ke.kabupro.jp/tsp/20090227/140120090227014495.pdf

上場廃止基準(東証)との関係:

過去の監査意見不表明が出たケースでは、その後に会社が会社更生手続きなどを開始したことにより、上場廃止となっていることが多いようです。これは、東証の上場廃止基準の「破産手続、再生手続又は更生手続」に該当することになります。

では、監査意見が意見不表明になったとして、会社が更生手続きなどを行わない場合は、どうなのでしょうか。東証の上場廃止基準では、「監査報告書に「意見の表明をしない」旨等が記載された場合であって、直ちに上場を廃止しなければ市場の秩序を維持することが困難であることが明らかであると当取引所が認めるとき」となっています。
言いかえれば、監査意見不表明でも、東証の判断で上場廃止にしないということがあり得るようです。近いうちに、そのような事例が生じるのでしょうか。

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