業績予測の開示について留意すべきこと

適時開示

 業績予測の開示については、主としてアナリストが行う米国方式に対し、会社が自ら行うという日本方式に関して、今後継続すべきか、否かを含めて、この数年にわたって議論された結果、この24年3月21日付で東証より「業績予測開示に関する実務上の取扱について」が公表されました。
http://www.tse.or.jp/rules/kessan/gyouseki/b7gje6000001vb28-att/b7gje6000002f7t2.pdf

 東証は、業績予測開示は継続するものの、強制していないことなどを、改めて強調、確認しました。特に以下の点の留意が必要であると強調されています。
① 業績予測の数値算定の前提条件が全て合理的に説明できる範囲内であること
② 業績予測の数値はあくまで合理的に算定された結果であり、経営者による約束(コミットメント)ではないこと
③ 業績予測は事業年度の進捗によってダイナミックに修正されることが想定されていること

①に関して、前提条件が合理的に説明できない状況にある会社に関しては、むしろ開示してはいけないと言っているわけですから、無理に開示をせずに、その旨を開示して、業績予測数値の開示はやめるべきでしょう。
合理的に積み上げられた業績予測でなければ公表してはいけないので、それを強引に公表すれば、その公表したことについて経営者責任は問われることになるでしょう。
また、季節変動などもあって年間でしか業績管理を考えていないような会社の場合は、通期の業績予測のみの開示でよいとされています。
一方で、合理的な前提条件の積み上げができないとして開示を辞めた会社であっても、「次期の業績予測」に相当する情報を社内に有している場合には、その内容の開示が求められる場合があるということです。

②に関して、経営者の方は胸をなでおろしてよいでしょう。業績予測は合理的に算定されたはずのものなので、その未達に関して経営者に責任はないということが明確にされました。株主総会などでもそのことを踏まえて答えられるとよいでしょう。
あくまで合理的に前提条件を積み上げて(恣意性を排除して)作成した場合の話ですが。

③に関して、業績修正を行いすぎると、「オオカミ少年」のように信じてもらえなくなるというのは伝説と化したと考えてよいでしょう。法人税率が3%下がれば、繰延税金資産を多額に計上している会社はそれだけで業績が悪化します。そうしたことは業績予測を算定している合理的な前提が変わったのですから、どんどんダイナミックに業績予測を修正しましょう。トヨタのIRをみてもなんと毎四半期ごとに修正していますね。
http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/financial_results/2012/

なお、米国の実務では、株価パフォーマンス(値付率)の低い会社、機関投資家の所有比率が低い会社は、自発的業績開示(元々強制されてはいない)を取りやめる傾向があるそうです。いわゆるリビングデッドといわれる銘柄を意味するのでしょう。日本もそのような銘柄が増殖しないことを祈るばかりです。

ちなみにアメリカをはじめとした海外では、こうしたリビングデッド銘柄をシェル(貝殻)といいます。これを利用して上場を実現することをリバースIPOといい、広く利用されているのですが、日本の場合は上場再審査の規定があるためほぼ利用されることはありません。

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